光を求めて・・・

 

“雁皮刷り”とは…

雁皮紙という、オブラートのように薄い和紙を使って刷ります。

インクを詰めた版に雁皮紙をのせ、

水で溶いたのりを刷毛で塗って、

最後に版画紙をのせてプレスします。

インクと紙の間に、雁皮紙をサンドウィッチするのです!!

 

言葉で説明するのは難しいので、次回その全貌をお伝えしたいと思います。

 

 

3版目の銅版。

雁皮紙によって、今まで刷ったものが淡ーい色合いに変化します。

the breathy forest 3

 

 

最後の4版目。

the breathy forest

完成です。

 

 

刷りという行程は、トンネルのよう。

薄暗い中を、光を求めて進んでいく。

その光は、あるかもわからない、存在不明な光。

わたしにしか見ることのできない光。

見えたときは、しっかり手で捕まえる。

そして、また必ず会えることを信じて手放す。

 

 

トンネルの中・・・

 

今回出品するコンペは、和紙を使ったミニプリント展です。

熊本県唯一の手漉き和紙、“宮地手漉和紙”を使いました。

江戸時代から続くこの和紙は、八代市の妙見宮近くの工房で、おじいさんが一人で作っていらっしゃいます。

素朴で、おじいさんの手の温もりが伝わってくる、素晴らしい和紙です。

この和紙と出会い、「この紙で刷りたい!」と思ってから2年半・・・。

 

やっと刷りました。

やっと完成しましたーーー!!!

 

 

1版目の木版凹版。

彫刻刀との丸い彫り跡が好きです。

絵の具にちょっとパールホワイトを混ぜて、きらきらさせるのです。
the breathy forest 1

 

 

苦戦した2版目、ラワンベニアのグラデーション。

IMG_0663

1回目の刷りで、手漉き和紙の表面とベニアの表面がくっつき合い、

毛羽立つというハプニングが。

紙の湿し具合やプレス圧を変えたり・・・。

そして多少の毛羽立った感は目をつぶることに。

 

 

この次は銅版を2版重ねます。

が、しかし!もっと毛羽立つことに気付きました。

銅版の表面と、和紙の表面は、どちらも凹凸があります。

お互いがひっかき合って、くっつき合って、剥がれてしまうーー!

 

いつも思います。

“刷り”という行程はトンネルだと。

 

悩んだ末に、初の“雁皮刷り”で仕上げることに決めたのでした。  つづく・・・

美しいふたり

先日、宇城市三角岳に登ったときのことです。

 

イシガケチョウに出会いました。

その名の通り、石崖・石垣模様をしています。

美しい線…。

kinugasadake

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よーく見ると…、下のやつ、なんだろ。

kinugasadake2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レースのスカートを身にまとったこの子は、キノコでした。

キヌガサダケという、準絶滅危惧種です。

なんとドレッシー!これまた美しい…。

 

森は不思議です。

足を踏み入れ、どんどん進んでいくうちに世界が変わっていく。

滅多に見られない生き物に出会ったり、

普段では味わうことのできない時間を過ごすことができる。

 

あの場所へ行きたいな。

過ごしたいな。会いたいな。

ああ…、好きだなー。