トンネルの中・・・

 

今回出品するコンペは、和紙を使ったミニプリント展です。

熊本県唯一の手漉き和紙、“宮地手漉和紙”を使いました。

江戸時代から続くこの和紙は、八代市の妙見宮近くの工房で、おじいさんが一人で作っていらっしゃいます。

素朴で、おじいさんの手の温もりが伝わってくる、素晴らしい和紙です。

この和紙と出会い、「この紙で刷りたい!」と思ってから2年半・・・。

 

やっと刷りました。

やっと完成しましたーーー!!!

 

 

1版目の木版凹版。

彫刻刀との丸い彫り跡が好きです。

絵の具にちょっとパールホワイトを混ぜて、きらきらさせるのです。
the breathy forest 1

 

 

苦戦した2版目、ラワンベニアのグラデーション。

IMG_0663

1回目の刷りで、手漉き和紙の表面とベニアの表面がくっつき合い、

毛羽立つというハプニングが。

紙の湿し具合やプレス圧を変えたり・・・。

そして多少の毛羽立った感は目をつぶることに。

 

 

この次は銅版を2版重ねます。

が、しかし!もっと毛羽立つことに気付きました。

銅版の表面と、和紙の表面は、どちらも凹凸があります。

お互いがひっかき合って、くっつき合って、剥がれてしまうーー!

 

いつも思います。

“刷り”という行程はトンネルだと。

 

悩んだ末に、初の“雁皮刷り”で仕上げることに決めたのでした。  つづく・・・