今回出品するコンペは、和紙を使ったミニプリント展です。
熊本県唯一の手漉き和紙、“宮地手漉和紙”を使いました。
江戸時代から続くこの和紙は、八代市の妙見宮近くの工房で、おじいさんが一人で作っていらっしゃいます。
素朴で、おじいさんの手の温もりが伝わってくる、素晴らしい和紙です。
この和紙と出会い、「この紙で刷りたい!」と思ってから2年半・・・。
やっと刷りました。
やっと完成しましたーーー!!!
1版目の木版凹版。
彫刻刀との丸い彫り跡が好きです。
絵の具にちょっとパールホワイトを混ぜて、きらきらさせるのです。
苦戦した2版目、ラワンベニアのグラデーション。
1回目の刷りで、手漉き和紙の表面とベニアの表面がくっつき合い、
毛羽立つというハプニングが。
紙の湿し具合やプレス圧を変えたり・・・。
そして多少の毛羽立った感は目をつぶることに。
この次は銅版を2版重ねます。
が、しかし!もっと毛羽立つことに気付きました。
銅版の表面と、和紙の表面は、どちらも凹凸があります。
お互いがひっかき合って、くっつき合って、剥がれてしまうーー!
いつも思います。
“刷り”という行程はトンネルだと。
悩んだ末に、初の“雁皮刷り”で仕上げることに決めたのでした。 つづく・・・